ログイン
HOME
INTERVIEW

老舗ホテルの若女将として東京からIターン。 仕事を通じて人間関係が広がり、「何かやろうと思ったら叶う」生活を実感。

檜谷 美奈子さん

東京都 → 広島県
1998年
宮浜グランドホテル 若女将 家族3人(夫・娘) 1970年生まれ

結婚を機に、宮島の対岸、宮浜温泉にある老舗ホテルの若女将としてIターン。縁のなかった土地で、若女将として仕事に育児に奮闘しながら、仕事やプライベートでの様々な人とのつながりが、仕事と趣味と重なり合って、コミュニティを広げ、ホテルでの新たな企画にもつなげている。

広島にIターンされた経緯はどのようなものですか?

東京生まれの東京育ちで、東京で旅行会社に就職しました。そこで、宮浜温泉の宮浜グランドホテルの跡継ぎである夫と出会い、結婚して広島に来ました。
高校の修学旅行で広島に来たことはあったのですが、ほとんど広島の知識もなく、土地勘もなく、何も考えずに来たという感じです(笑)。
広島はもっと田舎だと思っていたのですが、来てみると便利なところでした。でも、広島に来て半年くらいは東京に帰りたくて、近くに走っているJRの山陽本線を見ながら、「寝台列車に乗ったら帰られるかなあ」なんて思っていました。
結婚して8年目に子どもができたのですが、そのころから広島に根付いた気がしてきました。

広島での生活はいかがですか?

それまで一人暮らしをしたこともなくて、都会大好きな自分が東京を離れるとは予想もしませんでした。
でも、今や広島で良かったと思います。特に子どもを育てていく上で良かったです。
最初の離乳食は、私がホテルの前にある瀬戸内海で釣ったお魚の刺し身でした。確か小さなタイとキスだったと思います。のびのびとした環境がぜいたくです。とにかく、お魚が美味しい!!食いしん坊の私にとって、それだけで充分魅力があります(笑)。
私の住む大野町の特徴かもしれませんが、保育園も充実していると思います。園の畑で採れた野菜でカレーを作ったり、お散歩も公園までしょっちゅう歩かせてくれたりします。広島では当たり前の光景かもしれませんが、東京は空気が悪く散歩といっても距離が限られてしまいます。
東京での満員電車はもう考えられません。今思うと、どうしてあんな思いまでして、と思います。東京は、日本一で世界に通じる都市であり、何でもできます。逆に言うとお金がないと遊べない。便利なようで、例えばショッピングに行きましょうとなっても、1箇所に集中していない分、電車の移動でヘトヘトになります。

旅行会社に勤めていた当初は、夜も遅く決まった休みもない。「時間がない、時間がない」と思いながら過ごしていました。だから、習い事とかやりたいなと思っても、やる前から諦めていたし、本当に疲れていましたね。
こちらに移ると、街遊びと海遊び、そして仕事が生活のテリトリー内にある。女将の仕事も忙しいですが、フットワークが軽くなり、時間も有効活用できるようになりました。イベントを見つけるとすぐに友達を誘ったり、子どもを連れて出かけます。心に余裕が生まれたのもあるかもしれませんね。

目の前は海ですね。

海が見えることが当たり前になってしまいましたが、海が見えてきてホッとする瞬間はよくあります。東京では、海を見ようとすると2時間くらいかかって行っていたので、贅沢だなと思います。
夫は朝からずっと仕事をしているという生活ですが、時間ができると、突然その日になって「ちょっとスキーに行かない?」などと言い出します。広島県内にスキー場はたくさんありますが、同じ廿日市市内にある女鹿平(めがひら)スキー場であれば、40分くらいで本当に着いてしまいます。ある時、子どもがスキーをする様子を、街ではくブーツを身に着けたお母さんがゲレンデ脇で見ている様子に「なんて光景でしょう!」とびっくりしたことがあります。
また、夫は「ちょっと尾道ラーメンを食べに行かない?」とか「宮島に穴子飯を食べに行かない?」とも言い出すことがありますが、それがすぐにできてしまうところが広島の魅力だと思います。
広島は一か所に多くの機能が集中しているため、便利だし有効に時間が使えるのではないでしょうか。東京に住んでいる妹が時々遊びに来ますが、広島で過ごす時間を楽しんでいるようです。

広島での人との出会いやつながりについては、どう感じておられますか?

異業種交流会で広島県内の個人事業主の方とつながったり、地域を元気にする会のようなものでは、様々な分野で頑張っておられる地域の方と出会います。
広島の適度に高い集積性や多様性が、こうしたいい出会いをもたらしてくれるようで、もし東京に住んでいたら今のように色々な方と出会えなかったと思います。
普通に友達のように付き合っている方が、実はすごい方だったりして、人とのつながりで新しいことが始まったりします。
近くにすごく大きな甘いイチゴを作られる農家があるのですが、オーナーさんとの出会いがきっかけで、ホテルのデザートに取り入れさせてもらうことがありました。

また、シーカヤックの専門店と連携して、シーカヤックで宮島まで行くプランをつくったりしました。シーカヤックを体験した方は必ずといっていいほどリピーターになられますし、外国人の方の利用が多いです。
ゴスペルやヨガは、個人的な趣味として始めたのですが、ヨガについては、近くにある大頭神社の奥の妹背の滝で早朝ヨガをして、ホテルで朝食を取り、温泉に入って帰るというプランを作りました。
私自身は、旅館のお仕事とプライベートを上手く両立できているのではないかと思っています。ヨガやカヤック、フラダンスにウクレレ、ローフードカレーの講習など、自分のやりたい事がライフスタイルに組み込まれています。
特に、同年代の40代にエネルギッシュな人が多くてよく集まっていますし、集会所などでの小規模なお祭りも多くて、地元での生活が充実しているので、よそに出向く理由がないほどです。

宮浜温泉の振興にはどのように取り組んでいますか?

宮浜温泉は昭和39年に開湯した新しい温泉で、現在、ペンションも含めて6軒の施設が温泉組合に入っています。JR広島駅から約40分、日本三景・世界遺産の宮島の対岸にあり、ラジウム含有量が高い美人の湯です。平成27年は、宮浜温泉の開湯50周年記念でした。社長である夫がアイデアマンなので、いろいろな企画を考えました。世界選手権として認めていただいている「まくら投げ選手権」があったり、市販の花火1万発を打ち上げたり…仲間とともに、馬鹿なことを本気でやっています(笑)
また、宮浜温泉のある廿日市市がけん玉発祥の地ということもあり、第一回目の「けん玉ワールドカップ」の宿泊地になり、世界中から集まった外国人選手で賑わいました。
お客様は広島市内からが多いですが、シーズンには東京・大阪などからも来られます。宮島をはじめ錦帯橋など、観光名所にアクセスしやすい点も魅力のひとつだと思います。
ITが発達して宮浜温泉が認知される基盤はできているように思います。最近では海外のご予約も増えてきていますので,お客様の新しいニーズをキャッチして、世界中から多くのお客様に来ていただけるようにしていきたいと思います。

移住を検討中の方へメッセージをお願いします。

知らない土地への移住ということで、私も当初は不安がありましたが,「まぁ、やってダメなら帰っておいで。」の母の一言で気持ちが楽になりました。気付いたらいつの間にか、馴染んでいたという感じです(笑)。
移住のきっかけや移住先の魅力の感じ方などは人それぞれです。何かをやりたいけれど、何をやったらいいのかわからないという人は多いと思いますが、そう思った時がチャンスでもあるので、興味があるならまずは一歩踏み出してみれば良いと思います。
百聞は一見に如かず。私で良ければアドバイスしますので,一度,広島に遊びに来ませんか?

桧谷さんのある一日の使い方

6:15 起床
7:30 朝食、家事
平日であれば、子どもを学校へ見送ります。
9:00 仕事
12:00 宮島へ出発
仕事のため、夫とともに宮島へ渡ります。久しぶりに宮島で昼食を食べることにしました。
12:10 宮島口へ到着
車で10分程度で宮島口の桟橋に到着。JRでは2駅(6分)です。次々にやってくるフェリーに乗ります。
12:30 宮島へ到着、昼食
フェリーで10分弱の船旅。あっという間に宮島に到着です。穴子飯をいただきます。
15:30 帰宅
宮島での用事をすませ、帰ってきました。
17:00 子どもの迎え、夕食、入浴
21:30 家事、仕事
子どもを寝かせて、残った家事や仕事の片づけをします。
0:30 就寝
檜谷 美奈子さん

関連インタビュー

INTERVIEW

アビ 会員特典を利用する! 無料 会員登録
サポート窓口/お問い合わせ