ログイン
HOME
INTERVIEW

広島は、つまらない。新たな変化を求め、他県で生活してみたら見えてきた広島の魅力、そして都市としての可能性。

道中 裕子さん

東京都 → 広島県
2012年
広島生まれ 家族 父母兄 1984年生まれ  情報通信会社 勤務

「広島の生活に飽きちゃったし、もう帰ってくることもないだろう。」と京都の大学に進学し、「大きい仕事がしてみたい。」と就職で東京に。でもどこか引っかかっていた広島。目の前の仕事や生活に夢中で挑戦してきたからこそ地元愛に気づき、Uターン後、京都や東京で得た価値観や経験が生きる新しい生活が始まっている。

広島を出るきっかけは?

大学受験を機に考え始めました。広島で生まれ育ち高校まで過ごし、大学でも広島を選べば、毎日がこれまでの延長線で続いていくことがイメージできました。
気の知れた家族や友人がいて、大半が想像できる範囲での生活は安心感はあるけれど、人や生活環境に大きな変化はなく、そこには新しい発想や考えは生まれない気がして、つまらなさ、物足りなさを感じていました。
「広島を離れてひとりになったらどうなるのだろう。」と変化を求める気持ちで県外に出ることにしました。

就職では、なぜ東京へ行こうと思ったのですか?

京都の大学では、実は入学式から結構焦りました。周りに誰一人として知っている人がいないし、広島弁ではうまく言いたいことが伝わらないし。
周りではテレビの漫才で見るような光景が普通の会話の中で繰り広げられ、ノリもスピードも異なり、極端な話ですが、異国にきたような感じでした。
必死になってコミュニケーションをとって友達と仲良くなり、京都の生活に慣れてきてからは大阪、兵庫、奈良や滋賀などへも、友達とよく出かけるようになりました。
広島から出てみたら、新しいスポットや人にたくさん出会うことができ、広島にはないものがたくさんあってすごく楽しい毎日でした。「やっぱり出て良かった、そして広島には二度と戻らない。」と思いました。
でも、就職活動でどんな仕事をしたいかを考える時、広島のことが心のどこかで引っかかっていたんだと思います。物理的に離れても、どこかで繋がっていたいと。
そのようなことから人や情報の距離感を縮められるのはITではないかと感じ、IT業界に興味を持ちました。「新しくて最先端なものが集まる東京で、ITを使って社会に影響を与えられて、人の生活を豊かにできるような大きな仕事がしてみたい」という気持ちが芽生え、東京中心の就職活動を行いました。

東京での仕事や生活はどうでしたか?

東京で就職した会社では、金融機関のシステム開発を担当しました。お客様業務の理解やシステム知識の習得に必死だったり、意図しない異動や拠点変えが何度もあったりと、仕事はいつも無我夢中だったように思います。だけど、優しくて優秀な先輩たちや同僚にめぐまれ、充実した仕事ができた職場だったと思います。
東京での普段の生活は、今考えると“女子女子”していたように思います(笑)。休日は、会社の同期や先輩と一緒にトレンドな街やスポット、テレビでとりあげられるようなカフェや新しい店に食べに行って遊んでいました。
JRや地下鉄にも慣れて、自分なりにお気に入りのスポットもでき、出かけるのを楽しんでいました。また、少し離れた鎌倉や伊豆、箱根に足を伸ばすこともありました。でも通勤ラッシュは苦手でした。どこから人が湧き出てくるのかと思うほど人が多くて、電車の時間を早めたりずらしたりしてみましたが、あれは無理です(笑)。
東京での生活では、友人もたくさんできました。今でも東京で出会った人たちは私の宝物です。

転職を考えるようになったきっかけは?

東京に出るとき、「東京にいる理由がこれ以上明確にならず目的意識が低ければ、東京に出てきた意味が無い。3年から5年を一区切りとして、その時点でまだいたいと思うかどうか考えよう。」と決めていました。
3年目くらいから、当時考えられる範囲ですが、このまま会社にいたら10年後は、こういう立ち位置で、こんな生活をしてと、イメージできるようになりました。と同時にそれは、自分の望む10年後ではないと感じました。
会社が嫌だったというわけではなく、仕事に対する違和感が業種なのか業界なのか何なのか、はたまた仕事ではなく生活に感じる違和感なのか・・・他部署に異動させてもらったり、異業種の人と交流したりできる限りの情報を集め、約2年考え続けました。
そんな折、休みに帰省し家族や友人に会うと、どこかほっとしていることに気付きました。そういえば東京で美味しいもの食べたときは家族に食べさせてあげたいなとか、今の季節は広島では魚がおいしいだろうなとか、じんわりと故郷を想うことが増えていて、広島に帰ってみようかなという気持ちが自然と湧いてきました。東京で仕事をしながらも、ずっとどこかで広島がひっかかっていたんだと思います。

Uターンはどのように決められましたか?

東京は刺激的ですごく楽しい。でも自分の居場所という意味ではどこか異なる空気感に馴染めませんでした。ここが地元だ!的な、家族感や愛着が生まれなかった。どこか、外から来て、楽しませてもらっているという感覚が拭えませんでした。
10年後をイメージしたとき、会社としてみたら、そこまで私を必要とはしていないと感じたんです。他にも優秀な方はたくさんいて私は大多数の中の一人。この会社で自分がどんな影響を与えられるかというモチベーションにまで至らず、そんな状況で無責任に会社に残ってはいけないと感じ、会社を辞めることだけ先に決心がつきました。

この時点では、まだ東京で業界を変えて働いてみて、しっかりやりたいことも見定めてその後広島に戻ってもいいかなと考えていましたが、会社を辞めることを両親に話したらショックを受けちゃって。その姿を見て「両親を悲しませてしまって情けない。辞めるなら、なるべく両親に心配をかけたくないし、中途半端に東京に残るくらいなら、一度地元に帰ってもいいかもしれない。」と思い、広島も選択肢として探すことにしました。
たまたま広島のグループ会社に中途採用の募集があり、ここなら今まで培ったものを生かせると思って応募したところ、意外にもサクサクと決まりました。

Uターン後、広島の魅力をどう感じていますか?

Uターン当初はすっごく不思議な感じでした。地元なのに、9年ぶりなのもあって、地元って言い切れないふわふわした感覚が数年続きました。
広島は、住みやすいと思います。生活に不自由もなく、街としてもちょうどいい。
例えば、買い物一つとっても、東京だとあちこちの街に行ってその都度乗り換えて。それが楽しかったけれど、広島では1か所に集中しているので便利だし、会社帰りにあれもこれもみたいな手軽さがあります。

広島に帰って気持ちにゆとりも生まれました。
ゴルフを始めて月に1回程度コースに出たり、カメラを持って近隣の県の観光地・景勝地を巡ったりしています。春夏秋冬を味わい、自然に触れる時間が増えました。
職場の先輩方に誘っていただき、船をチャーターして瀬戸内海での釣りも体験させていただきました。自分で釣った魚は本当においしくて、釣った魚を家族やご近所に配ったらすごく喜んでくれたりして、「こんなに贅沢な遊びがあったのか」と思いました(笑)。
広島は、市街地と山や海など自然がとても近いです。ドライブも好きなので、ゴルフに行ってその帰りに瀬戸内海沿いを通ったり、途中で車を停めて夕陽をみたり、カフェでぼーっとしてみたり。瀬戸内海は穏やかなので、とても落ち着きます。中四国地方は車があれば色んなところに行けます。特に島根も好きで、しょっちゅう行きます。

それから、なんといってもカープ。家族で年間指定席を購入していて、年間30試合以上観戦に行ってます(笑)。関東に比べてスタジアムが身近にあるのが魅力です。
広島の魅力のひとつに県民性もあると思います。広島の人は地元愛が強いので、県外から来た人に対してもアットホームで、生活に慣れやすいと思います。
広島人にとっては「受け入れる」という感覚もおそらくあまりなく、いつの間にか仲良くなって馴染んでいるという印象です。
会社でも仕事以外の時間のイベントがよく開催されていたり、ついでに家族も連れておいでよみたいなのは、東京ではあまりありませんでした。温かいなと感じています。

東京での経験を通して広島で見えてきたことはありますか?

東京は、良くも悪くもスピード感が速い。広島とのスピード感の違いは、歩く、話す、仕事などいろんなところで垣間見られ、広島に戻ったころは特に自分の中でズレを感じました。
のんびりしていることが心地よいこともあれば、反面物足りなさとして感じることもしばしばですが、外からの視点と中からの視点で物事を見る、考えることができるようになったことは、広島から京都や東京に出たからこそできるようになったことで、良かったなと思います。
振り返ると、結局広島にいたころの私は、マイナス要素ばかりが見えていて、外の世界に逃げていたところもあるのかなと思います。でも今は、広島が一番心地いいところだと思えるようになりました。

家族の時間もあって、自分の時間ややりたことができて、生活も時間もバランスよく整っている。試行錯誤してやってみたからこそ、今の生活があるのだと。だからあの時これをしとけばよかったという後悔は、何一つありません。むしろ、いろいろやってきて良かったなと。
これからやりたいことが一つに繋がりつつ前に進んでいる実感もあり、以前のように悩まなくなりました。

移住を検討中の方へメッセージをお願いします。

私の場合は、Uターンなので、広島で生活するハードルも低く生活のイメージがしやすかったです。でも、それを取っ払ったとしても、広島は移住者の方にとって住みやすい場所だと思います。
私は戻ってきてみて、地元広島をもっと快適にしたい、もっといい街にしたい、と思うようになりました。移住というと田舎に住むことを中心に考えられがちで、それもいいのだけど、街として発展させるために、外で色々経験した人たちに来てほしい。
広島は、発展してるところもあれば、まだまだなところもたくさん有ります。外から見て、違和感として感じることに自分のアイデアを生かせる場所だと思いますし、一緒に作り上げていく仲間が増えたらうれしいです。
地元の人だけで集まるよりも、いろんな価値観や経験をもつ個性的な人、先進的な人が集まることで、人も企業も面白くなり、広島としても発展する。広島はそういう環境が揃っている場所だと思います。

道中さんのある平日の時間の使い方

6:00 起床
8:30 出社&仕事
17:30 仕事終了
18:00 友人と食事
20:00 食事後、ボウリングへ
21:00 帰宅

道中さんのある休日の時間の使い方

4:00 起床
5:30 早朝ゴルフへ
車で約1時間
12:30 帰宅
13:30 カープ観戦のためマツダスタジアムへ
17:00 試合終了
18:00 カフェのテラス席で祝賀会
徒歩すぐ
21:00 帰宅
道中 裕子さん

関連インタビュー

INTERVIEW

アビ 会員特典を利用する! 無料 会員登録
サポート窓口/お問い合わせ