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INTERVIEW

広告代理店の営業職として感じるのは、広島の人は「広島のために」という感覚が根っこにあること。その温かい感覚は広島ならでは。仕事の手応えもダイレクトで力強いです。

神原 知里さん

東京都 → 広島県 
2015年
1986年広島県福山市生まれ。 株式会社アドプレックス 勤務 独身

大学進学を機に広島県福山市から上京。東京でアパレル会社、広告代理店勤務を経て、広島市内の企業へ転職。現在は広告代理店の営業職として活躍中。東京に居ながらにして広島の企業情報を収集、就活。そして広島で働くことで見えてきた、広島の仕事と暮らしとは。

東京から広島へ転職された経緯を教えてください。

広島県福山市の生まれで、大学進学を機に上京をしました。もともと広島に帰る気はなかったです。広島は閉鎖的で、新しいモノを受け入れるようなところではないと思っていましたし、違う価値観にも触れておきたいと思っていました。大学時代はアパレル販売のアルバイトをしていました。特にアパレルに興味があったわけではないのですが、時給が良かったのでなんとなく(笑)。リーマンショックがあり、新卒での就職が難しい状況になったのですが、私はアルバイトをしていたアパレル会社にそのまま就職をしました。
その3年後、東日本大震災がありました。

その時、多くの人がそうだったように私も「自分はこのままでいいのか」と、これからの自分の生き方、働き方を考え直したんです。ただ流れのままに働いてきたことに対して自分自身に疑問がありました。「自分のやりたいこと、すべきことは何なのか」と。
震災後、テレビや雑誌などのいろんな広告、表現、発信されるものが私の目に留り、自分だったらもっとうまく「伝える」ということができるんじゃないかと漠然と思ったんです。何の経験も実績もないのに本当におこがましいんですが(笑)。震災を機に「伝える」ことを仕事にしたいと強く思いました。

そこで広告代理店への転職を考えました。リーマンショックのあと東日本大震災の不安定な雇用状況。さらに広告業界の職歴ゼロという三重苦で、就活は難航。30社以上はアタックしたと思います。そのうち、私のキャリアのあるアパレル系や美容系企業をクライアントに持つ広告代理店から採用してもらうことができました。
働き始めた頃は大変でした。それまで販売業しかしてこなかったので、エクセルも開いたことがない、ビジネルメールの送り方もわからないんですから(笑)。営業職以前の前途多難なスタートでした。当時の上司は私以上に大変だったと思います。
入社から3年近くたったころ、仕事が波に乗り、面白くなってきた頃だったのですが、実は当時付き合っていた人と別れたこともあって。東京にいる理由がわからなくなったんです。今の仕事も東京じゃなくてもできるんじゃないかと思ったり、それに故郷・広島の存在が気になったりして。仕事や恋愛に疲れたわけではなく、ただふと、「地元で働いてみようかな」と。色々あって、ひとつの区切りというか転機を感じました。

東京で働いていたときのエピソードは?

あるとき、山形の紡績工場の社員の方と知り合いました。世界で一番細い、上質なニット繊維を作っている会社なんですが、「中国製品などに押され、経営が困難であるから自社製品をPRしたい。どうしたらいいだろうか」とのことでした。オバマ前大統領夫人がその会社の製品のニットをお召しになったこともあるほど、高い品質の商品でした。そこで上司にお願いをして、約1年間、無償でその会社の製品を雑誌などの媒体へ売り込んだり、編集の方にお願いをして記事を書いてもらうなど、広報活動のお手伝いをしました。やがて、雑誌の表紙に取り上げて頂くほど、認知が広がっていき、業績も徐々に回復。そのお礼にと広告出稿やカタログ作成などのお仕事を頂きました。

ひとつの企業とゼロから向き合い、その企業とともに成長させて頂けたと感じます。その時、私はどんな状況下であっても知恵を絞り出し、必死に取り組んでいく姿勢が、状況を好転させていくということを肌で知ることができました。この紡績会社の社員の方が、広告予算もない状態でも何かできるのではないかと必死に模索をされていたように、自分が何ができるのかを考え、できることはすべてやってみることの大切さも学びました。

東京にいながらどうやって広島の企業の就活をしたのですか?

広島市がどんな町で、どんな会社があり、どんな求人があるのか。ネットを見てもいまいち実態が分からないし、ネットで探せる求人も限られていて、ピンと来なかったんです。有名な転職サイトにも登録してみましたが、地方の求人はあまりなかったんです。福山市出身なので、広島市内の地理やリアルな町の様子も知らないですし。,かと言って,情報収集だけのために広島へ行くのは大変だし。

ちょうどその頃、カープの試合を見に行った神宮球場で、銀座にある広島のアンテナショップ「TAU」で広島の求人説明会を開催するという内容のチラシを手にしたんです。その説明会には都合が悪くて行けなかったんですが、その流れで広島地場の派遣会社が東京在住者を対象にテレビ会議による就職説明会をするというのを知り、参加しました。そこで知った広島市の企業3社にエントリーをしました。

広島市に戻り行き、一日で3社と面接。その結果、現在の会社とご縁あって派遣契約をすることになりました。広島に行くにも交通費がかかりますから、1回の帰省でできるだけ多くの手続きを済ませて帰ったものです。そしてすぐに広島市中区に住まいを見つけ、2年前に東京を引き上げました。入社後、派遣契約・契約社員を経て、現在、正社員として1年たちました。

東京で就活をしていて感じたのは、「広島で働いてみようかな」と思い始めたときの情報の少なさでした。ひょっとしたら発信はされているのかもしれないですが、全然届いていなかったと思います。どこにどんな情報があるのかがよく分からなくて、結局、たまたま手にしたチラシや広島県人同士の口コミから知ることが多かったように思います。「TAU」はグッズだけでなく広島の情報も多く集まっているので,ふらっと立ち寄ることができるのがいいですね。

現在の仕事内容を教えてください。

今の会社はウェブ制作、タウン誌・企業パンフレットなどの発行、印刷業務や広告事業などを行っていて、私の部署はウェブ事業部です。一応ウェブ担当ではありますが、タウン誌の広告、各種印刷物など当社が扱っている商材は全てクライアントに説明し提案できるようにしています。東京で働いていた頃はそれが当たり前でしたし、納期や仕事の進め方がとてもシビアだったので、そうした経験があることは自分の強みになっていると思います。東京のビジネスシーンでは、「イエス・ノー」をはっきり言う傾向があったとおもいますが、広島ではそれが少々きつく捉えられるようで、もう少し広島弁で言う「やおく」やっていくことが、自分自身の課題です。

広島に帰ってみていかがですか?

広島で仕事をして感じることは、広島の人は仕事の底辺に「広島のために」という思いがあるということです。それに仕事の成果や反応をじっくりみることができ、広島の人や町のために役立っていることも感じられます。東京で仕事をしていた頃は、「東京のために」という発想はなかったですし、自分の仕事が話題になったとしても、次の仕事に頭が切り替わっていて。忙しすぎたというより、地域のためという発想はあまりなかったと思います。
広島で仕事をしたいと思ったのは、そういった新しい価値観をみつけたかったのかも知れません。自分以外の「何かのために」働きたい、時間や手間をかけてじっくり仕事をしたいと思ったのです。その「何か」が故郷・広島だったのかも知れませんね。

両親は福山に帰ってきて欲しいと思ったようですし、福山出身なら岡山県で就職するという選択肢もあったかもしれません。でも私は広島県人でありたかったし、広告業界で働くなら、広島市の方が仕事量もあるだろうと思い広島市を選びました。広島市は空気も町並みもきれいだし、食べ物がおいしい。会社の近くのお好み焼き屋のとん平定食(550円)は最高です。
現在の職場は自宅から市内電車で10分ほどの距離にあり、時間のあるときは歩いて通勤しています。広島に帰ってきて同僚と島根県浜田市や道後温泉に遊びに行きました。それぞれ日帰りで楽しめました。そして何より広島はスポーツもとても盛り上がっていてアツイですね。今、全国的にも広島はフォーカスされているし、素敵な町だなと思います。

広島に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

迷っているなら一度戻ってみればいいと思います。東京には東京の良さが合って広島では敵わないことがたくさんある。でも広島にも、広島の良さがあります。私自身、先々どうなっているかはわかりませんけど、広島に帰ってきてよかった、と思っています。県外で一生懸命やってきたという自分なりの軸や自信があれば、広島でも頑張れると思います!!今はこのサイトのように広島県の移住サポートが充実してきているので、今が広島に住むチャンスだと思います。
それと広島に住むなら車の免許は持っておいた方がいいです。私も広島に住みはじめてすぐの課題が免許の取得でした。免許があると仕事だけでなく、海や山に遊びくのも簡単ですしね。

平日

7:00 起床 出勤の支度
市内電車、もしくは徒歩で通勤
8:15 会社到着
8:50 始業
12:00 ランチ
会社の近所のお好み焼き屋
18:00 終業 
仲間と食事へ
22:00 そのまま歩いて帰宅
テレビでニュースをチェック
23:00 就寝

休日

10:00 ゆっくり起床・食事
たまっている家事をこなす
13:00 外出
川沿いを歩いて本通りへお買い物に
16:00 マツダスタジアムへ向かう

16:30 マツダスタジアム到着
18:00 友達とカープ観戦
22:00 帰宅
23:00 就寝
神原 知里さん

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