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INTERVIEW

パン作りに適した美味しい水を求めて福富に。 素材にこだわり、食する人の癒しとなるパン作りを目指す。

片岡 裕士さん

アメリカ → 広島県
2006年
1972年福山市生まれ パン工房 カントリーグレイン・カフェスプラウツ オーナー 独身

パン屋を営んでいたご両親が1990年に美味しい水を探して福富に移住。その後を継ぐ片岡さんは、30歳のときアメリカへ留学し完全菜食について学んだ。帰国後はビーガンの調理法を生かした商品・メニュー開発を行いながら、体と心にやさしい食の提案に力を入れている。

福富町へお店を出されたきっかけを教えてください。

両親がフランチャイズのパン屋をしていたのですが、ある日お客様から「このパンにはどういったものが使われているのですか?」と聞かれ、答えることができなかったそうです。図書館で調べると、自分達が提供しているパンに添加物がたくさん入っていることを知って驚愕。こんなパンはお客様に販売することはできないとフランチャイズのパン屋を辞め、安佐南区下祇園に国産小麦と天然酵母を使ったパン工房「カントリーグレイン」を開業しました。当時はまだ国産小麦もパン用に改良されていなかったのでパンがカチカチになってしまったり、膨らまなかったり、大変な苦労をしたと聞いています。

オープンして2年後、パン作りの命ともいうべき水が気になりはじめた両親は、水の美味しい場所を探すようになりました。屋久島など全国いろいろリサーチしていたところ、福富が候補に。ちょうど手頃な空き家がありパン屋もできるということで福富に移住を決めたそうです。その頃まだ私は学生で両親とは離れて暮らしていたのですが、休日には帰省して二人の仕事ぶりを見ていました。

なぜ、ご両親のお店を継ごうと思ったのですか?

やはりずっとパン作りをしている両親の背中を見て育ったのが大きいかもしれません。
また、私は小さい頃からアレルギー体質でいろんな症状がありました。原因となる食物を除去しても、それがストレスになり症状が悪化。高校になっても良くなったり、悪くなったりの繰り返しで完治しなかったんです。困り果ててアレルギーに関するさまざまな情報を集めていく中で、完全菜食に興味を持ちました。30歳のとき、本格的に食について勉強してみたいと思い、アメリカ・カリフォルニア州のウイマーカレッジに留学し、ベジタリアンの調理法について学びました。

卒業後はカレッジに併設されていたニュースタートライフセンターという療養所のチーフシェフとして1年間勤務。そこで、食生活を変えることで健康を取り戻していく人をたくさん見て、これはすごいなと。日本でもこの食の提案をしてみたいと思い帰国しました。アメリカで学んだことが、今の自分の考え方の基盤になっていると思います。

帰国後、両親の店を継いだのですが、カフェで出す料理を肉、魚、乳製品を一切使わないビーガンスタイルに変えました。現代はガンや高血圧などの病気を抱える人がとても増えていますよね。留学で感じたのは、原因は食生活が関連しているなということ。ここに来られたお客様には、日常の食生活を見直していただくきっかけになればと思っています。

パンやカフェランチのこだわりを教えてください。

パンは天然酵母で、100%国内産小麦を使っています。また、発芽小麦や全粒粉、玄米粉などを使用し、風味と栄養価を高めた体によいパン作りを目指しています。発芽させることで、栄養価が格段に上がり、ビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富になるんです。また、ずっしりとして腹持ちがよいのも特徴です。天日塩やてんさい糖など、素材もとことん厳選。添加物はもちろん、牛乳、バター、生クリームなど動物性のものは一切使用していません。
カフェは完全菜食のビーガンスタイル。現在「クレンジングランチ」というメニューを提供しているのですが、食物繊維や酵素がたっぷり含まれたスムージーなどをメニューに入れています。

野菜は肉や魚に比べて、消化スピードが早いんです。9割が女性のお客様で、「次の日お通じがよかった」などの話を聞くと、自分がしていることに効果があるのだなとうれしくなりますね。メニューすべてに自信を持ってお客様へお出ししています。

「カントリーグレイン」はお客様にとって日常で使うというよりは、2週間から1カ月に1度訪れるような場所だと考えています。だからこそ、非日常を味わってほしいですね。体に負担をかけない食事をしながら、自然の中でゆっくりとくつろぐことで、心と体をデトックスしてもらえればうれしいですし、明日への活力をつけて、エネルギーを充電する場所になればいいなと思っています。

将来的には、お店の前の畑を利用して、果樹園や体験農園を企画できたらと考えています。以前にも、小麦の種植えから、粉を挽いてパンを作るところまで、年間プログラムにした「麦麦(ばくばく)くらぶ」というのを行っていました。参加してくださった方からとても好評で、その頃小さかったお子さんが、大きくなって店に来てくださっています。世代が変わっても来てもらえる店になりつつあるのかなと思うと感慨深いです。パンをただ販売するのではなく、家庭で簡単にできる料理教室やパン教室なども開催して、思い出も一緒に作れるような価値ある場所にしていきたいですね。

地域活動では、どんなことをされていますか?

福富町にIターンやUターンで帰ってきた人、地元の人など個性豊かな11の事業所が連携して「こだわりの郷ぐるーぷ」を結成しています。活動の目的は地域活性化や地域交流。現在、私は会長として関わっているのですが、自然農法や自然をどう生かすかなどこだわりを持って活動しているメンバーばかりなので、話をしていてとても勉強になるし楽しいですし、人としてどうあるべきかといった深いところまで教えてもらっています。まだまだ成長段階のグループなのですが、「遊びにこだわり、仕事にこだわり、食にこだわる」という基本理念は変わることはないですね。「福富に来れば何かおもしろいことがある。一日ゆっくり遊べるね」と感じていただけるように、福富町を盛り上げていきたいです。

福富町はどんな町ですか?

福富は自然豊かで、のんびりできる田舎特有の雰囲気があります。町の景観も独特ですね。赤瓦の家や茅葺屋根の家が山の麓や田んぼの中にぽつんぽつんとあって、日本の原風景のような感じ。夏はクーラーがなくても、自然の風で過ごせるのも魅力ですね。車の渋滞もなく15分も走れば西条があり、スーパーマーケットや銀行などインフラも整っています。そしてなんといっても、食べ物がおいしい!自然農法で米や野菜を作っている方が多いからでしょうね。

福富の方はみなさんとても大きな心で受け入れてくださるので、移住しても不安になることはないと思います。こちらが心を開けば絆も深まり、家族のような付き合いをしてもらえる。私たち家族が移住したときも、引っ越しの手伝いをしてくださり、困ったときは何かと手助けしてくださいました。

また、福富は手に職を持った方がたくさん移住して来られているので、個性が強い人が多いのも特徴(笑)。面白い人も多く、考え方もしっかりしています。「何か新しいことにチャレンジしたい」と意欲にあふれている方ばかりなので、相乗効果でよりいいものが生まれる気がします。

移住者へのメッセージをお願いします。

新しいことをスタートさせるとき、躊躇することもあるかと思います。そんなときは、一歩踏み出す勇気を持つことが大切。前に進むことで、世界がガラリと変わります。私もアメリカへの留学を決意したのが30歳の時でした。英語もまったく話せず、不安でいっぱいだったのですが、留学したことで物怖じしなくなったり、視野が広くなったりと、人生が大きく変わりました。だけど生半可な気持ちでは成功しません。軸になるものを持っているからこそ、必死になるし、それを見ている周囲の人たちが応援したくなるのだと思います。

また、やりたいことがあったら、どんどんPRするとたくさんの情報が集まってきます。繋がりからいろいろな人達とご縁ができて、それが力になる。移住するとなると大変なこともあると思いますが、自分が目指しているものにやる気を持って取り組んでいれば、福富の人たちは必ず力になって応援してくれますよ!

平日

6:00 起床
7:00 開店準備&翌日のパンの仕込み
9:00 本日のパンを焼き始める
10:30 OPEN 
カフェスプラウトのランチの準備や調理を行う
14:30 ランチタイムの片付け
15:00 昼食
17:00 CLOSE
CLOSE後から事務作業などを行う
18:00 夕食&リラックスタイム
22:00 就寝

休日

8:00 起床
10:00 平日できない事務作業を行う
13:00 昼食
14:00 ウィンドウショッピングへ出掛ける
    自宅でリラックスしたり、映画を見たりすることも
19:00 夕食&リラックスタイム
22:00 就寝
片岡 裕士さん

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