HIROBIRO.ひろしま移住ストーリー2021 〜先輩移住者からのメッセージ募集〜 HIROBIRO.ひろしま移住ストーリー2021 〜先輩移住者からのメッセージ募集〜

東京から移住した私が『広島県民』になれた場所

Okonomi侍さん
30代前半
東京都から移住
会社員(正社員)

「広島県は、コンビニよりお好み焼き屋の方が多い」

そんなの、きっと嘘に決まってる。都市伝説の類か何かだろう。

そう思ってました。移住するまでは…。

でも、実はこれ本当なのです。

実際に広島市内を歩けば、すぐに実感することが出来ます。

それだけ地域に根付き、そして浸透しているのです。

曰く、各々に「行きつけ」があるだとか…

曰く、各々が「Myヘラ」を持ってるだとか…

本当かどうか分かりませんが、今でも驚かされることは多々あります。

そんな私が『お好み焼きデビュー』を果たした時の話です。

所用を済ませて小腹が空いた時に立ち寄ったのは、おばちゃんが1人で切盛りしている小ぢんまりしたお店でした。

中に入ると四角い鉄板が一枚だけあって、その周りをお客さんが肩・肘を寄せあいながら食べてるわけです。

落語の寄席を観に来たのかと錯覚するほど窮屈な気がして(今、思い返せば少し大袈裟ですが…)、隣の人に迷惑かからないかな…なんて考えたりしてると、何だかヘラを握る手も震えてきそうでした。

そんな折、隣に座っていた作業服のオジちゃんに『兄ちゃん、ここ初めてか?ここの(お好み焼き)が広島で1番うめぇんだぞ』と話しかけられました。

すかさず、店のオバちゃんが『何言うとん、日本一じゃけぇ』。

オジちゃんが笑って、オバちゃんも笑って、私も笑って。

ジューっと香ばしい音と皆んなの笑い声が入り混じる、とても居心地の良い空間に、自然と私も馴染んでいました。

ヘラに苦戦しながら食べ終わるとオバちゃんに

『またおいでね。』

うん。また寄るね。顔、覚えておいてね。

そう伝えて帰路に着いたあの日から、もう何年も経ちました。

今やオバちゃんにヘラの使い方を褒められるまでに成長した私は、もう立派な広島県民です。

受賞作品