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INTERVIEW

新しい時代を切り開くベンチャー事業をサポート! 瀬戸内海を拠点に世界で戦える起業家を育成していく。

井上 智央さん

東京都 → 広島県
2015
1978年 広島県尾道市生まれ 株式会社キャンバスプロジェクト 代表取締役 経洗塾 主宰 独身

20代の頃から国内外問わずベンチャー業界で活動してきた井上さん。故郷広島で新たなベンチャー起業家の育成を目指し広島へ完全移住。経営者としてのノウハウを伝えながら、起業家とともに新規ビジネスに日々チャレンジをしている。

広島へのUターンの経緯を教えてください。

アメリカミネソタ州立大学政治学部を卒業後、現地の会計事務所を経て、国内数社のベンチャー企業の取締役やディレクターなどを務めていました。広島に移住する前の2013年14年は、スイスに本店を置くPictet & Cie(ピクテ銀行)の外部後見人として、国内の資産家や投資家の口座開設に必要な推薦状を書いたり、シンガポールや香港の支店にお連れしたりする仕事をしていました。そのため、海外と国内を行ったり来たりする生活を送っていました。同時期、自身の経験を活かし、福山市と広島市でベンチャー起業家を育成する「経洗塾」を始めました。月1回のペースで経営者が集まる小規模な勉強会を開催し、徐々に塾生が増えていきました。関わる時間が多くなるにつれ、中途半端に取り組むのは不誠実だという想いが強まり2015年に広島に拠点を移し、広島から東京・海外へ飛び回る生活へシフトしました。

経洗塾ではどんな活動をされていますか?

経洗塾の目的は、新規事業、新規ビジネスをスタートする際に必要なノウハウや環境を事業計画書という形で具現化していくことにあります。主には、市場調査から競合他社の分析、自社商品の優位性、お金の流れなどを3ヶ月のプログラムで作り上げていきます。
これまでの経験から、海外も国内もベンチャーを目指す人の“能力”に差はないと感じています。ならば起業のために何が必要か。資金、人、情報、ノウハウといったリソースです。広島は海外や東京に比べて、ベンチャー企業に対するリソースが足りていないですし、環境も整っていません。この塾は世界に通用する事業の育成とサポートが中心です。従来の経済や産業の枠ではなく、新しい時代を切り開くベンチャー起業家を育てていきたいという想いから、対東京、対海外の視点で各塾生の事業に接しています。

東京都内は、エリアごとに集まる層が決まっています。例えば、金融機関で働く人は大手町や銀座、アパレル関係の人は明治通りや原宿通りといった感じです。逆に広島は、職種や所得層で時間を費やす地域が分かれる事が無く、流川・八丁堀エリアの一ヵ所に行政、金融、ファッション、経営者などいろんな人が集まります。
この側面はシンガポールによく似ているんですよね。シンガポールでは、仕事終わりにいろんな層の人が一つのバーに集り、その場で意気投合してみんなで飲むといった文化があります。
こういった他業種の交流はベンチャー起業家にとって、とても重要なことでビジネスの種になるんです。この似た環境を活かし、広島でも他業種が気軽に交流しビジネスアイデアを共有できる場を設けるため、2016年12月、広島市内初のコワーキングバーの「新天地ハブ」をオープンさせました。業種や職種関係なく自由に名刺交換でき、ビジネスについて語り合える空間になっています。

広島の塾生と関わる中で感じることはありますか?

2016年から岡山でも経洗塾を始めました。現在、広島と岡山合わせて40社近くのベンチャーを育成しています。広島は社会貢献性の高いソーシャルベンチャーやインバウンド系のビジネス比率が高いのに対し、岡山は既存のトレンドに真っ向勝負的なベンチャーが多い。隣同士の県なのに県民性が全く違って、広島人は義理人情型、岡山人県は猪突猛進型というイメージ。だから塾生を見ていて本当に面白いですね。ただ、広島県民の既存コミュニティーに優しすぎる気質は、経営の観点からすればベンチャー向きではないんです。

広島は塾生を含め急激な変化を好まず、家族・親族・周辺組織・団体に対しての土台固めから行います。反面で、全ての障壁をなくしてスタートするので、動きだせば一気に走り出せるのが良いところ。経営者としての伸び幅は大きいですね。
広島へ移住を希望する方の中に、ベンチャー志望の方もいると思います。もしかしたら広島の県民性が新しいビジネスに挑戦していく上で壁になったり、県民との感覚のズレに戸惑ったりすることがあるかもしれません。だからといって不安に思わないでほしいと思います。無理に広島県民性に溶け込もうと思い悩む必要はないですし、むしろ、溶け込まないほうが広島県にとってはメリットが大きいはず。移住者にしかない、第三者の視点でビジネスを生み出せることが強みになると思います。

今後どのようなビジネスを考えていますか?

2017年1月、広島空港周辺にサテライトオフィス機能を持たせる「広島空港ITビレッジ構想」をキックオフしました。これは、国内外で活動するビジネスマンに新しい拠点を提案するものです。今後広島がベンチャービジネスの先進地域に何で勝負していくかを考えた時、最大の武器はやはり瀬戸内海。多島美の中でサイクリングやトライアスロン、クルーズなどができる環境は日本でもここだけです。
例えば、平日は東京や海外で働き、週末は広島でアクティビティを楽しむというライフスタイルができれば、世界中を飛び回る方々にとって有意義な場所となるはずです。広島空港は不便な空港と言われていますが、反対にしまなみ海道へのアクセスは広島市内や福山市内よりずっと近い。

ITビレッジをビジネスや余暇の拠点にしてもらうことで、空港利用客が増え、瀬戸内海により多くの人が来るようになる、そこから新しいベンチャービジネスが誕生する。このプロジェクトが実現すると、広島にとてつもなく大きなメリットが生まれます。ここ広島空港に新たな価値を創り出せると思うと今からわくわくしています。

広島で暮らしてみて変化はありますか?

広島に住み始めて時間の使い方が変わりました。東京の場合、働こうと思えば24時間アポを取ることができます。対して広島は、夜になると街全体が眠るので夜中にアポを入れるということはまずありません。夜は本を読む時間にあてていて、今では週に3、4冊は読破しています。いろんなアイデアや発想が沸いてきて、新規プロジェクトについて考える時間も増えましたね。
また、尾道市在住のプロサイクリストに勧められてサイクリングを始めました。広島市内では沿岸部を走ったのですが、さざ波の感じや向いの島との距離感など、生まれ故郷の因島によく似ていて、懐かしい気持ちになりました。今年は山口県や島根県へも行き、もっといろんなコースを走る予定です。

加えて、個人として行政や企業と一緒に、富裕層向けの中国地方サイクリングパッケージを作るプロジェクトにも参加しています。趣味で始めたことによりいろんな人と出会えた上、新しいプロジェクトに携わるきっかけになったことは嬉しいです。

移住者へのメッセージをお願いします。

瀬戸内海に類似する環境は、日本全国どこを探してもありません。豊かな自然環境や住環境から、移住目的やビジネスの目的を導き出せば、他県ではできないことを生み出せると感じています。もし広島でビジネスを考えるなら、瀬戸内海をどう使うか、自分用にどうアレンジしていくかを見つけると面白いはず。瀬戸内海なら自由度もありますので、どの事業に関してもカスタマイズできます。自分の行動と発想次第でいろんなビジネスを展開できると思います。
移住にあたり目的を持つことはもちろんですが、それ以上に自分が住む街の「好き」を見つけることが大切です。私には生まれ故郷という絶対的な「好き」がありましたので、壁にぶつかったときなどは心の寄り所にもなりました。自分の中での「好き」がぶれない限り、移住は何らかの形で実を結び成功すると思います。

ある日のスケジュール

7:30 起床
8:00 メールチェック
10:00 社員とTV会議
12:00 ランチ 
自宅での作業が多いため、お昼は自炊することも
13:00 メッセンジャーで経洗塾生とのやりとり
相談、サポートなどが中心
18:00 新天地ハブの準備 or 会食
22:00 帰宅
22:30 お風呂 
1時間くらいお風呂で読書をするのが日課
23:30 リラックスタイム 
引き続き読書
25:00 就寝
井上 智央さん

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