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INTERVIEW

地方だからこそできる新しいデザインのカタチ。 移住者の多い尾道の街は、勢いと可能性に溢れています。

長友 浩之さん

東京都 → 広島県
2016年
1983年生まれ せとうちホールディングス 勤務 グラフィックデザイナー 家族 妻・2歳の息子

2011年の東日本大震災を機に東京での暮らしに疑問を感じた長友さん。子どもが生まれ、自身の生き方、家族の暮らし方を見つめ直し、2016年に妻の故郷・広島へIターンした。現在は、せとうちホールディングスのグラフィックデザイナーとして、さまざまな企画・制作に携わっている。地方だからこそできるデザインの在り方を模索し、新たな可能性を見出している。

Iターンのきっかけを教えてください。

最初に移住を考えはじめたきっかけは、2011年の東日本大震災の時。これまでの世界がガラリと変わり、東京で暮らすことに不安や疑問を感じました。でもその時はただ思っていただけで行動には移していなかったんです。
震災の2年後の2013年に結婚、そして2015年に子どもが生まれて。本格的に移住しようと動き出したのは、この時からですね。当時、僕は広告関係の制作会社に勤めていたので、仕事が忙しくて、徹夜や終電で帰るのが当たり前のような働き方をしていました。家に帰って子どもの寝顔を見るだけ、朝少し触れ合うだけの毎日。我が子と接する時間はないですし、ベビーカーで電車に乗ったり、子供づれで街を歩くのは大変だと感じることもあって、子育てするには東京は本当に窮屈だなと。妻と二人、これからの生き方、暮らし方を考えたときに、子どもが保育園や幼稚園に通う前までに、移住するのが家族にとってベストじゃないかと思い、妻の実家がある広島の福山近郊へ移ることに決めました。

仕事や住まいはどのように決めたのですか?

移住しようと決めた段階で、一番気がかりだったのは仕事でした。東京にいながらの就職活動はインターネットがメインで、福山近郊でデザインの仕事を探していたのですがなかなか希望に合う仕事先が見つかりませんでした。デザイナーの経験を活かしてフリーランスという選択肢もありましたが、基盤のない土地では現実的に厳しい。そんな中で、気になったのが、「ディスカバーリンクせとうち」を運営する「せとうちホールディングス」。尾道、鞆の浦を中心に瀬戸内エリアで独創的なプロジェクト展開するこの企業に惹かれて、「ここで働いてみたい!」と思いました。定期的にHPをチェックしましたが、その当時は求人がでることもなければ、企業と繋がるツテもなく…。それと平行して移住についても情報を探していた時、「広島・移住」で検索したら「HIROBIRO」のサイトにヒットして。

デザイン、コンテンツ等、広島県の移住プロジェクトのブランディングができていて、純粋に「面白そう」「行ってみたい」と思って、すぐ有楽町の移住サポートセンターへ。そこで出会ったライフスタイリストの平野さんに、デザインの仕事がしたいこと、せとうちホールディングスで働きたいことを相談しました。何度も足を運ぶ中で、相談はもちろん、起業セミナーに参加したりしながら、移住へのモチベーションを上げていきました。
結局、今の職場に決まったのは、実は身近なご縁から。妻の家族の知り合いにせとうちホールディングスに勤めている方がいて、運よく紹介していただけたんです。2016年の7月に話が動き始めて、8月の後半には内定をいただきました。その後の家探しも、妻の親戚の空き家を借りることができました。仕事も住まいも妻の家族、親戚の方にご縁をいただいて、導かれるように決まりました。

今の仕事はどんなことをされていますか?

せとうちホールディングスは、尾道、鞆の浦を拠点に瀬戸内海エリアの観光資源を活用し、地域を活性化させている企業なのですが、僕はそこでグラフィックデザイナーとして働いています。具体的には、サイクリスト向けの複合施設「ONOMICHI U2」で販売しているオリジナル商品のパッケージや最近だと、2018年3月中旬にオープンした自転車ブランド「BETTER BICYCLES」のアートディレクションを担当しました。現在は、尾道の山手側にできる複合施設「Log」や、2019年の春にリニューアルする尾道駅舎の商業施設のプロジェクトに携わっています。自分の会社のプロジェクトに立ち上げから関われることはすごく面白い。どういう商品を作るか、どんな人が購入するのかなど、企画段階から関われるので、楽しさとやりがいを感じています。本質的な価値を生み出すデザインをより意識するようになり、以前に比べてデザインの質が変化したと思います。

東京にいた頃は、クライアントから仕事を受ける側でしたので、要望されたものをそのまま作ることが多かったんです。大手クライアントの案件の場合、大手になればなるほど規制や条件があり、クリエイティブ面で自由が利かないことも。今は、自社のものをメインで手掛けていますので、会社も新しいアイデアを積極的に取り入れてくれますし、商品のパッケージなどはダイレクトに消費者の反応を見ることができる。自由度が高くなったことで、自分の発想とデザインの幅が広がるとともに、街やエンドユーザーのためになっているのかを一層考えるようになりました。

尾道の魅力、移住して気づいたことはありますか?

移住する前は単純に“観光地”というイメージがあったのですが、実際に暮らしてみて、若い移住者が多く、“尾道”という独特な文化があると感じています。フリーランス、カフェやパン屋、雑貨店のオーナーなど、とにかくユニークな人がたくさんいるんですよね。そういった若い人達がショップを開いたり、イベントをしたりと、これまでにない視点で観光を生み出していて、実際にそれを目的に足を運ぶ観光客もいる。もちろん、日本文化遺産に認定されていますから、尾道水道や千光寺、情緒ある街並みなど、古くからの観光名所としての魅力はありますが、それ以外での地域づくりが盛んと言いますか、尾道は新しいことに挑戦できる風土があるなと思います。

尾道での暮らしはいかがですか?

やはり、自然が身近にあること、そして何よりも海の景色がいいですよね。同じ県内でも広島市と尾道市ではかなり違う。尾道は空気がどこかゆったりしています。人の動きも、時間の流れも。のんびりしている感じがすごく心地いい。あと、気軽にアウトドアができるのも魅力的。子どもと庭でバーベキューをしたり、テントを張ってキャンプをしたり。思い立ったらすぐできる環境は理想的です。東京では休日を外で過ごすと言っても、子供を近くの公園で遊ばせるとか、買い物に連れて行って街中を回ることが多かったので、そう思うと子育てにも良い場所だと思います。
通勤も大きく変わりました。東京にいた頃、自宅から職場まで1時間半かけて電車通勤をしていたのですが、今は車が中心。そして時々フェリーも利用します。船に乗るという非日常が身近になったし、海の景色を眺めながらの移動は贅沢に感じます。また、車で移動することが増えてから、移動時間や距離の感じ方が変わってきたなと思うんです。今まで電車通勤に使っていた1時間半あれば、岡山県の倉敷や広島市内などの都市、せとうちしまなみ海道を渡れば四国まで行ける。距離的には遠いはずなのに、同じ時間で近郊都市まで出掛けられるのはすごくいいですよね。

これからの目標を教えてください。

東京はクリエイティブにおいても最先端なイメージがありますが、地方だからこそできることはたくさんあると思っています。例えば、パッケージ一つにしてもそう。道の駅で売られている何でもない商品も、パッケージを変えたり、見せ方をかえるだけで、ブランド力が高まる場合があります。眠った商品をどう見せて、外にアピールしていくかの仕掛けさえできれば、都市に負けないプロモーションや魅力が発信できると思っています。そうした付加価値を創り、モノが売れるようになると、生産者のためになり、ひいては地域の活性化にも繋がる。デザインを通じて地域に貢献することが目標であり、尾道はそれができる街だと思います。
また、今の会社では、街を元気にするために、レストランやホテル、ショップに観光ツールなどさまざまなプロジェクトを展開し、地域の雇用創出を目指しています。雇用があれば若者も街に残るし、UターンやIターンもしやすくなるのかなと。そのためにもプロジェクトにクリエイティブ面で関わり、この街を活気づけていける人材でありたいと思います。

移住者へのメッセージをお願いします!

尾道は移住者にとってとても暮らしやすい環境だと思います。住まいや「ONOMICHI SHARE」のようなワーキングスペースなど、尾道を拠点に活動しようとする人のための支援は充実していますし、地元の人も外からの人に対して閉鎖的ではない。地元の居酒屋に入って、そこに居合わせた人に移住の相談をすると、そのまま住めちゃうようなウェルカムさはこの街ならではです。さらに、やりたいことを口にすれば、話を聞いた人がその想いに賛同して一緒に考えてくれたり、人を繋いでくれたりと協力的。移住へのハードルが低い街でもあるのではないでしょうか。
もし、今「移住したい」と思っているなら、友達、家族、隣の人など、とにかくいろんな人に伝えてみてください。思いを言葉にすることで、情報が入ってきたり、自分の気持ちを整理できるし、予想外なところから吉報が舞い込んでくるかもしれません。だから、言い続けることが大事。きっとあなたらしい道筋ができていくと思いますよ!

平日

6:00 起床
9:00 出社
19:00 退社
定時は18:00
19:30 夕食
20:30 子どもをお風呂にいれる
21:00 子どもを寝かしつける
寝かしつけているうちに眠ってしまうことも多々
21:30 自分の時間
24:00 就寝

休日

8:00 起床
朝食
10:00 子どもと一緒に海辺を散歩
12:00 昼食
13:30 子どもとお昼寝
16:00 家族で夕食の買い物へ
19:00 夕食
20:30 子どもをお風呂にいれる
21:00 子どもを寝かしつける
寝かしつけているうちに眠ってしまうことも多々
21:30 自分の時間
24:00 就寝
長友 浩之さん

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