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INTERVIEW

60年後の自分がもっと豊かであるために。 新たな生き方を求めてたどり着いたのは、移住という選択肢。

池田 亜喜子さん

京都府→世羅町
2021年10月
自治センター職員

都会での安定した生活を手放して、世羅への移住を決意した池田さん。移住相談窓口での面談、オンラインセミナーへの参加、お試し移住など、ゆっくりと時間をかけてステップを踏みながら新生活をスタート。豊かな暮らしの実現に向けて、一歩ずつ着実に前進しています。

移住前の暮らしと移住のきっかけを教えてください。

京都で一人暮らしをしながら、銀行に勤務していました。移住という選択肢が頭をよぎる様になったきっかけはテレビ番組。それを見て「地方で暮らすのもいいな」と考え始めました。そのあと、地方で開催されるイベントにも参加するようになり、そこで出会った人に「まずは移住というより郊外に引っ越してみたら?」と言われ、「たしかにいきなり大きく動くよりはそれもいいかもしれない」と考え、2017年頃、車で通勤できるくらいの場所へ実際に引越しました。

その後も地方暮らしへの憧れは続き、京都の山間部や高知で開催された移住関係のイベントに参加しました。農業ボランティアをしたとき、ある兼業農家の方が「うちは農家だから、お金がなくても米がある。どんなときでも飯が食える」と話されているのを聞いてすごくうらやましくて。

その時ちょうど「人生100年時代」が流行っていたこともあり、「給料も生活もある程度安定しているけれど、60年後の自分にはお金以外に何も残らないんじゃないか」という不安を感じると同時に、農家や兼業農家の方たちがたくましく生きる姿が新鮮に映って、本格的に移住を意識するようになりました。

実際に移住するまでにはどんな経緯がありましたか?

せっかくならどこかゆかりのある土地へ移住するのが良いかなと考え、父の出身地であり、祖母が暮らしている三次が思い浮かんだんです。広島移住サポートメディア「HIROBIRO.」のことを知り、2020年5月にメールで問い合わせ。移住と転職をセットで考えていたので、移住先では農業などの技術が身に付く仕事や地域と深く関われる仕事を視野に入れていること、畑付きの一軒家に住みたいことなど、希望を伝えました。

相談員の森上陽子さんから、三次だけでなく、三次に車で楽に行けるエリアとして庄原、安芸高田、世羅などを紹介してもらい、オンラインで先輩移住者さんと面談をさせていただいたりもしましたね。

コロナのまっただ中で、イベントへの参加や県外への旅行が難しい時期。広島県はオンラインセミナーが充実していたので、約1年かけてさまざまなオンラインセミナーに参加しました。「海も山も近く魅力的なエリアがたくさんある」ということや、「府中市はモノづくりが盛んなんだ」とか「広島市は思ったより都会だった!」などの広島についてのことだけではなく、色々な人のライフスタイルについて知る良い機会になり、とても楽しかったです。

オフラインでの開催だったら行くのが難しいような日程でも、オンラインだからこそ参加できたのは不幸中の幸い! 手探りどころか、何も情報がない状態からのスタートで、移住相談窓口の存在はありがたかったです。森上さんが漠然とした私の話をとにかく受け入れてくれて、後押ししてくれたことで、前進できたと思います。

世羅を移住先に選んだ理由は?

三次から近いという理由で、2020年7月に世羅のお試し住宅に初めて滞在しました。1回目の滞在では、「自然が多く、車の運転もしやすくて良いところだなぁ」とか「ここにはこんなお店があるんだ」など地域の情報がわかりました。

その後、10月に再訪した2回目の滞在では、世羅町役場の方が私の「〇〇がしたい」を聞いてくれて、農業をしている方や移住者の先輩などに会う機会を作ってくれました。その時に地域の人たちと話しをすることで、何となく世羅への移住が具体性を増していきました。その時に、今住んでいる家のお隣さんから、「ここの家は空き家だから貸してくれると思うよ」と、大家さんと住まいを紹介していただき、住む場所をイメージできたことも気持ちがグッと動いた要因です。

その次に2021年7月に家を見学するために訪問した際に、役場の方に転職先の相談をしたら、『世羅ワイナリー』で事務職を募集しているとの情報が! 絶妙なタイミングで、訪問の度に世羅とのご縁が繋がっていくような気がして、移住と就職を決めました。8月に前職を退職し、11月に世羅へ移住しました。

移住を決意したとき、不安はありませんでしたか?

「決意」というほど大きな決断ではなかったけど、それまでが安定した仕事だったので、仕事を変えることに対する不安はありました。それでも「ここにいても得られるものはお金しかないんじゃないか」という感覚が、仕事を変える不安を上回ったことが大きかったですね。

移住してからの暮らしはどうですか?

秋に移住したので、冬の厳しさにものすごく苦労しました。寒さや暗さ、静けさが本当につらくて…。まだ知り合いも少ない中で、このまま暮らしていくのは無理かもしれないと心が折れそうになったこともありました。
森上さんに相談したら、県内の移住者さんを紹介してくださり、オンラインで女子会をしたり、三次市の移住者さんとは直接会ってお話することもできました。人とのつながりができたことで、少しずつ前向きになれましたね。

お隣さん家族の存在も大きかったです。地域の人たちが集まる味噌づくりに誘ってくれたり、防寒対策を教えてくれたり。2年目の冬は相当な覚悟で臨んだので、生活にも気持ちにも余力が出てきています。お隣さんから畑を借りて、家庭菜園もスタートしました。

もともと人付き合いがそんなに好きな方ではなかったので、移住先での暮らしも問題ないと思っていましたが、つらい時期を体験して人に頼れるようになりました。人間関係が密なので、学ぶことが多くて、人として少しずつ成長できているような気がします。

収入が安定した仕事を辞めることに不安はありましたが、思いきって移住して良かったと思います。将来への不安が全くないとは言えませんが、道が決まっていないぶん、何にでもチャレンジできることにワクワクしています。周りにカッコいいことをしている人がいるのもいい刺激になっていますね。

これからの夢を教えてください。

地域の方に声をかけていただき、2022年7月から津久志自治センターに勤務しています。世羅ワイナリーでの仕事はたくさんの人と出会えて楽しかったのですが、もっと地域の方と深くかかわれる現職に魅力を感じ、契約期間満了とともに転職。移住者仲間と婚活イベントを開催するなど、新しいことにも挑戦しています。
単身の人でもコミュニティになじめるような仕組みや窓口が、自治センターにあったらいいなと考えています。私も移住者の一人として、何か役に立てるかも。

私生活では、少しずつでも農業を続けていきたいです。自分が食べる分くらいは、自分で育てたい。今の家は賃貸なので、いつか土地と家を持って落ち着きたいという気持ちもあります。畑があればなおいいですね!

平日

5:00 起床
6:00 身支度、畑の手入れや庭の草取り
日が短い時期は6:00に起床。まだ暗く凍結しているので、畑や庭での作業はしません。
8:00 出社
8:30 勤務
18:00 帰宅
18:30 入浴、夕食
20:00 休憩
22:00 就寝

休日

5:00 起床
6:00 身支度、畑の手入れや庭の草取り
日が短い時期は6:00?7:00頃に起床。凍結具合を確認してから、草取りをしたり畑の様子を見たりします。
9:30 アルバイトへ出発
10:00 アルバイト
18:30 帰宅
19:00 入浴、夕食
20:30 休憩
22:00 就寝
池田 亜喜子さん

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