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INTERVIEW

会社を辞めてUターンし、江田島市に民宿&喫茶を開業。地元出身者・移住者、双方の視点で取り組む地域貢献とは。

早稲田 圭さん

神奈川県→江田島市
2019年2月
体験民宿NORA/喫茶のら オーナー

転勤先の横浜で、地元への想いを募らせた早稲田さんは、会社を辞めて江田島市へとUターン。地域に必要なモノ・コトに取り組みながら、『体験民宿NORA』と『喫茶のら』を開業し、地域の人、移住者、観光客、いろんな人が交流できる場づくりをしています。 地域資源を生かした体験ツアーや新たな拠点も企画中。地元出身者として、自分らしい地域創生に取り組んでいます。

横浜での暮らしに馴染めず、会社を辞めて江田島市へUターン。

江田島市で生まれ育ち、高専を卒業した後、FAエンジニアとして企業に就職してからは呉や広島市内で暮らしていました。2015年に転勤で横浜へ引っ越し、2016年に広島出身の妻と結婚。

当初は1年くらいで帰ってくるつもりだったのですが、想定外に長引いてしまって…。僕は田舎育ちなので、横浜での生活があまり楽しくないというか、合わないなと感じていたんです。

実は、横浜へ引っ越してすぐに、東京・有楽町のひろしま暮らしサポートセンターを訪れました。江田島市で地域おこし協力隊として活動していた西村さんとお会いして、いずれはUターンしたいと考えながら、横浜での会社員生活を継続していました。

2018年に息子が生まれたことがきっかけで、会社を辞めて「広島に帰ろう」と決意。夫婦とも広島出身なので、お互いの両親が子どもと会える機会をもっと増やしたいというのも理由の一つです。

結婚を機に移住した妻も、横浜に知人はほとんどいないので、Uターンに賛成でした。田舎暮らしに憧れを持っていたようで、「帰るなら江田島市」というのが夫婦共通の思いでした。

FAエンジニアの仕事自体は好きだったので、会社に所属したままUターンするという選択肢もあったのですが、もともと入社から2、3年目に退職することを検討していたこともあり、いったん辞めることにしました。「地元に帰れば何とかなる」という、根拠のない自信がありましたね(笑)。

地域おこし協力隊を経て、移住コーディネーターを務めていた一般社団法人フウドの後藤さんに、Uターン後の妻の働き先や住む場所などを相談しました。家を内覧するときには、江田島市の片道交通費支援制度を活用。2018年の正月休みに家を契約し、2月に江田島へ引っ越しました。

古い物件が多く、予想外に苦労した家探し。

Uターンを決意した頃、友人からは「広島市内に住んだ方がいいんじゃないか」と言われたりもしました。江田島市は広島市内と比べると不便ですし、人との距離感が近いなど田舎特有の人間関係があったりもするので、妻が苦労するんじゃないか…と心配されることも。

ですが、横浜での暮らしが性に合わなかったこともあるし、お互いの実家が近くなるというだけでも魅力を感じていたので、迷うことなく江田島市に住むことを決意しました。

ただ、「地元に帰れば何とかなる」と思っていたにもかかわらず、家探しは非常に苦労しましたね。空き家バンクに登録してある賃貸物件は、修理が必要なことが多く、すぐに住める家はなかなか見つからず…。何軒も内覧をした後、二世帯住宅の一階を間借りする形でとある一軒家に住むことが決まりました。

子育ての面でも、やはり江田島市に帰ってきて良かったと感じています。子育て世代包括支援センターがあったり、「自然豊かな環境の中で子どもの個性を伸ばす」という考えで子育て支援をする団体があったり。英会話、ダンス、プラグラミングの教室もあります。 大きな病院が少ないというのは少し不安ではありますが、医療体制が充実している呉市も近いですし、休日診療もあるので安心です。

現地の様子について先輩移住者に直接相談してみる

学生民泊の受け入れをきっかけに民宿をオープン!

移住後は、前職の経験を活かして、フリーランスで機械設計の仕事を開始。前職のつながりですぐに声をかけていただき、出張に行くなど忙しく過ごしていました。ただ、地元のために自分で何かをやりたいという思いがずっと心のどこかにあり、旅行や観光で島を訪れる人と地域の人が交流できるような場所を作れたらいいなと思っていました。

そんな中、江田島市から学生民泊の受け入れを依頼されました。当時、江田島市には気軽に泊まれるリーズナブルな宿があまりなく、「それなら民宿をやってしまおう!」と。自宅兼民宿として使える大きめの一軒家を探し、2020年に1日1組限定の『体験民宿NORA』をオープン。(現在は1日1組限定ではありません。)屋号は、祖母が営んでいた喫茶店の名前を譲り受けました。

地域の人、移住者、観光客、いろんな人が交流できる場。

当初は、近隣の飲食店を活用してもらうために素泊まりの宿としてスタートしたのですが、お客さんや地域の人の要望に応える形で、『喫茶のら』もスタート。祖母の喫茶店を手伝っていた母が、料理を担当してくれています。

宿泊者や観光客もいますが、利用者の8割は地元の常連さん。ランチをしたり、お茶をしたり、憩いの場として使ってもらっています。

宿は長期滞在の受け入れもしており、観光やレジャーが目的の人、工事など仕事で長期滞在する職人さんの利用の他、移住希望者がお試し移住をする際の拠点としてもご利用いただいています。地域の人、移住者、観光客、いろんな人が交流できる場になっていくといいなと思っています。

体験移住をお考えの方。メッセージで相談してみませんか?

江田島市ならではの魅力をツアーや遊びを通じて提案。

現在、『体験民宿NORA』の近くにある一軒家を改装しています。将来的には宿泊を受け入れていきたいのですが、まずはシェアスペースとして活用していく予定。コワーキングオフィスにしたり、お試しオフィスにもできたらいいなと思っています。

また、キャンプやビーチスポーツなど、グッズのレンタルもしたいです。横浜での生活を経験して、自然の中で自由に遊びまわれる環境って実は貴重なんだなと知ることができました。ただ、海や山で何をしていいか分からないという人も多いと思うので、楽しみ方を提案したい。妻がSUPやヨガのインストラクターとして活動しているので、自然の中で遊ぶきっかけを提案できるといいなと考えています。

地域限定旅行業の資格を取得したので、それを活かした事業を計画中。江田島市には、味噌や醤油、日本酒の蔵元、豆腐屋など、歴史あるお店がたくさんあります。そういった魅力を知ってもらうパッケージツアーや農家の収穫体験を企画したり、地域の車屋さんが提案しているレンタカーサービスのサポートをしたり、島にもともとある魅力や暮らしをコンテンツとして提案していきたいです。

地元の人や地元企業に喜んでもらえる取り組みをしたい。

10数年ぶりに帰ってきた江田島市は、地域おこし協力隊の人たちや移住者が活躍しているなど、いい意味での変化を感じました。若い人たちが増え、事業を始めたい人や始めた人も多く、「これから面白くなりそうだな」という兆しが感じられました。新しいことに挑戦している移住者がすごく輝いて見えることがあるんですよね。

一方で、地元にいる友人や知人は、2代目、3代目として家業を継いでいる場合が多く、従業員を抱えて、地域の産業を支え、地域貢献もしている。そういう人たちがいることも決して忘れてはいけません。地元の人と移住者の温度差をなくしたいというか…。地元出身者として、地元企業や地元の人たちが楽しいと思えることをしたい。観光客が来て、島の事業者さんが潤う仕組みを作っていかないといけないです。

移住者が増えているとはいえ、江田島市の人口は減少傾向にあり、「息子が成長したときに高校や病院はあるだろうか」という危機感も感じています。

「移住者と地域の人を一緒に!」とか「地域貢献」を特別に意識しているわけではないですが、必要性を感じることに取り組んでいると、人や企業と自然につながりが持てている気がしています。江田島市には地元出身で、Uターンして地域創生にかかわっている人はほとんどいないので、地元の人と移住者、両方の立場が分かる存在として、少しでも地域の役に立つことができればいいですね。

平日

6:00 起床、身支度
6:30 宿泊者の朝食準備
7:00 朝食
8:00 喫茶準備(料理の仕込み、掃除)
10:00 喫茶開店
14:00 喫茶閉店
仕事(設計や新企画)
17:00 家族で夕食
18:30 宿泊者の夕食準備
20:00 片付け
入浴・就寝

休日

7:00 起床、身支度、朝食
7:30 朝食
8:30 広島市内へお出かけ
『LECT』で遊んだり、喫茶の仕入れをする
12:00 ランチ
17:00 帰宅
18:00 家族で夕食
19:00 子どもと遊ぶ
入浴、就寝

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