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Uターンしてわかった地元の魅力。広島県府中市の移住コーディネーター、小谷直正さんに聞く「仲間づくり」としての移住

Uターンしてわかった地元の魅力。広島県府中市の移住コーディネーター、小谷直正さんに聞く「仲間づくり」としての移住

プロフィール

小谷直正さん

広島県府中市生まれ。2012年に東京からUターン後、築190年の古民家をDIYで改修して、コーヒーショップ「コーヒーファクトリーハイジ」を立ち上げる。また、地域活性化に取り組むNPO法人府中ノアンテナの理事も務める。府中市を中心とした地域のものづくり企業を対象にした工場見学イベント「瀬戸内ファクトリービュー」の企画・運営など、まちづくりの分野で多彩に活動中。

――まず、小谷さんのこれまでについてお聞かせください。ご出身は府中市なんですね。

そうです。18歳まで府中市に住んでいて、大学進学時に京都に引っ越しました。その後就職した会社で東京勤務になって東京に移り、2012年に府中市に戻りました。Uターンですね。

もともと、「広島を出たい、家を出たい」という気持ちが強かったので、京都での大学生活は楽しかった思い出ばかりです。歴史が好きだったので史跡もたくさん見ましたし、学生の特権で自由な時間もありました。今の妻とも出会いましたしね。

東京への引っ越しは予想していませんでしたが、東京でのサラリーマン生活も楽しかったですね。美術館もたくさんありますし、仕事は定時で終わることがほとんどだったので退勤後に好きなアーティストのライブに行ったり。

でも、最初から東京に長く住むつもりはありませんでした。自分の生活を自分の手で作りたい、という思いがありました。

――府中市へのUターンを決めたきっかけは何だったのでしょうか。

東日本大震災です。地震が起きた日は出張で福岡にいたのですが、飛行機もJRも止まっていて東京の家族のもとに戻れない。夜行バスでやっと戻った東京の街は、コンビニやスーパーの棚が空っぽになっていて、「これはこの先、東京にはいられない」と強く感じました。2009年に子どもが生まれていたので、なおさらです。

妻と子どもは、姫路にある妻の実家や府中の僕の実家に避難して、僕は東京と行き来する生活を送りながら、移住と転職について考えていました。府中に戻ろうと決めて会社に報告したら、関西の部署への異動を提案されてまた悩んだり。なかなか結論は出ませんでした。

そんなある日、家族で府中にいたときのことです。子どもが「どんぐりころころ」の歌を歌いながら、地面に落ちているどんぐりを拾っては落としている姿を見ながら、「府中は子どもにとって、いいところなのかもしれない」とふと思ったんです。僕自身も、こんな経験をしながら育ったのかもしれないって。

――かつては「出ていきたい」と思っていた府中の良さを、お子さんに気づかされたのですね。

そうですね。でも、僕の転職はあまりうまくいかなくて、9カ月ほどで辞めてしまったんです。次の仕事探しはあまり熱心にはなれなくて、しばらく休みたいと思っていました。そんなタイミングで、和太鼓奏者をやっている中学の同級生から「ホームページを作ってくれないか」と頼まれたんです。それからだんだんと、フリーランスとして仕事をするようになりました。

――小谷さんには、移住コーディネーターだけではなくさまざまな顔がありますが、最初は地元の同級生のご縁からだったんですね。

意外なところで、いろんなご縁をいただきました。コーヒーが好きだったのでいろんなところでコーヒーを淹れていたら、イベントで出店してみないかといわれたり、リサイクル着物店をやっている同級生から、店舗でコーヒーを出してみないかといわれたり。江戸時代、築190年の物件だったんですが、家賃が驚くほど安かったので自分で借りてDIYでリノベーションして、「コーヒーファクトリーハイジ」を開くことになりました。全部、ご縁がつながっていると感じますね。

――移住コーディネーターとして活動されるきっかけは何だったのでしょうか。

府中には、僕みたいにフラフラしてる人がいなかったからじゃないでしょうか(笑)。直接的なきっかけは県庁からのお誘いでしたが、それ以前から実質的には同じような活動をしていたのかもしれません。デザイナーさんなど、ものづくりに関わる仕事をしている人たちを府中に連れてきて、一緒に街を見て回ったりしていました。「この町いいよね」といっていただくことも多く、僕としても「もっとたくさんの人たちに来てもらえたら」と思っていたところだったのでいいタイミングでしたね。

こちらの方言で、「たちまち」という言葉があります。「とりあえずサクッとやる」とか「早いけれど丁寧に仕事をする」という意味ですが、移住のご相談やお手伝いにもこの「たちまち精神」を発揮して、素早く丁寧にご案内できるようにしたいと考えています。

――移住相談に関して、新型コロナウイルスの影響はありましたか。

移住相談される方は増えました。お話をうかがうと、副業を始めようと考えている方、テレワークをするなかで改めて時間の使い方を考え直したいという方など、動機はさまざまです。ここ1年では、3〜4人は実際に府中に足を運んでもらい、ご案内しました。相談までだと10人近いでしょうか。

最近お話した方では、「現在自動車の部品を作る仕事をしているけどIoTにチャレンジしたい」という方を府中の超アナログな製造業の方につないだり、映像制作をしている方に府中のザ・昭和な町並みを案内したりしましたね。

いきなり移住、というのは誰にとってもハードルが高いので、「まずは土日に府中に来て、やってみたいことにチャレンジしては」と提案しています。

移住が成功するための3つのポイントは、「働くところ」、「住むところ」、そして「子育てするところ」がうまくマッチすることです。僕の役割は、「働くところ」をどうやって着地させるかだと思っています。府中の強みである「ものづくり」は本来は仕事を生み出すこと、お金を生み出すことなので、移住したい人のスキルややりたいことを、うまく府中のものづくりに結びつけるようにしたいですね。

――最後に、移住先としての広島県の魅力について、どう考えていらっしゃいますか。

特にここ一年ほどで、県全体として横断的な取り組みができるようになったことが広島の強みだと思います。「海が見える土地で暮らしたい」という移住希望者さんがいれば尾道市をご案内すればいいし、「ものづくりに興味がある」となれば僕に声がかかります。移住希望者側のさまざまなニーズを、幅広くキャッチすることができています。

僕は、移住促進は「仲間づくり事業」だと考えています。移住して新しい仕事を始めることは、自分のためになる、仲間のためになる仕事や生活をつくっていくことでもあると思います。今、ビジネスの現場で大きな流れになっているDtoC(Direct to Customer:生産者がECサイトなどで消費者に直接販売すること)やAISAS、SIPS(ともにソーシャルメディアなどを通じて共感・共有・参加することで起きていく消費行動)も、大きく見れば仲間づくりのひとつの形です。ものづくりや、作ったものを届けることも一緒です。

仲間づくりの輪を、移住促進の取り組みを続けるなかで大きく広げていきたいですね。

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