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まちあるきで出会った尾道の魅力を伝えたい。尾道市役所の奥忠直さんの取り組みは続く

まちあるきで出会った尾道の魅力を伝えたい。尾道市役所の奥忠直さんの取り組みは続く

プロフィール

奥忠直さん

尾道市出身。広島大学、同大学院卒業。在学中、尾道市で開催された「全国路地サミット」の運営に参加。平成27(2015)年4月、尾道市役所入庁。平成31年4月から政策企画課で移住・定住政策を担当。その傍らで、まち歩き団体・尾道商會を結成し、市民や観光客に尾道の文化や歴史を紹介している。

――まず、奥さんの生い立ちからお話をうかがいたいと思います。

尾道市出身で、大学は東広島市の広島大学に行きました。もともと地元である尾道や広島県から離れる選択肢はなかったですね。……都会は怖いので(笑)、広島県を出るということは思い浮かびませんでした。
広島大学では教育学部に進みました。もともと歴史や文化が好きで、それを誰かに伝えるためのノウハウを身につけることができたら、と考えたからです。在学中には、尾道市で開催された「全国路地サミット」の運営に参加したこともあります。今でも「全国路地サミット」で知り合った「路地仲間」と、全国の路地をめぐって写真を撮りためたりしていますよ。

大学院修了後、尾道市役所に入庁しました。まちづくりにダイレクトに関わる仕事がしたい、街のために役立つことをしたいという気持ちから選んだ仕事です。

――奥さんは現在、尾道市役所で移住・定住に関するお仕事をしていらっしゃいます。

はい、私自身は2019年から政策企画課に異動となり、移住関連の業務に携わるようになりました。尾道市としては、2017年に「尾道移住ポータル」、2021年1月には「人と尾道」という2つのウェブサイトを開設しています。尾道に住む人、尾道に移住してきた人の物語を入口に尾道に親しみを感じてもらう「人と尾道」から、具体的な移住の手引きや移住支援プログラムなどを詳しくお伝えする「尾道移住ポータル」へと、移住を希望する方を誘導していこう、という目論見です。

――奥さんには、そんな尾道市の職員としての顔だけではなく、もう一つの顔があるとうかがいました。

市職員としての仕事のかたわら、街歩き団体『尾道商會』を立ち上げ、会長を務めております。もともと私自身、街歩きが好きなんですよ。父が歩くことが好きだったこともあって、子どもの頃からよく尾道を歩いていました。歩くと街のことを知ることができますし、なにより街のことを好きになります。

尾道商會は、市内在住の20~30代のメンバーが中心となって、だいたい2カ月に1回のペースで尾道の街歩きを行っています。尾道市民の皆さんはもちろん、県外の尾道ファンや移住を考えている方に対しての情報発信も行っていますよ。
尾道商會のネーミングには、「商業」の町として栄えてきた尾道を「紹介」するという意味を込めています。ロゴマークも、尾道三山(千光寺山・西國寺山・浄土寺山)と尾道の「オ」の字をモチーフにしています。

――実際に、どれくらいの方が移住してきているんでしょうか。

2020年度では、42世帯72名の方が移住してくださいました。このうち、県外からの移住者は36世帯66名です。(4月~1月。尾道市移住相談窓口把握分)。このほか、6世帯11名の方が20年度内に移住される予定です。
移住される方の元の居住地は、関東圏が18世帯、関西圏が11世帯と、大都市圏から移住される方がかなりの割合を占めます。また、年齢的には30~39歳までの子育て層が最も多く、20~49歳までで全体の約7割を占めています。

――若い移住者さんが多いんですね。尾道市では、子育て支援策に力を入れているんでしょうか。

そうですね。例えば現在尾道市全域で7拠点ある、子育て支援包括支援センター「ぽかぽか」では、お子さんの検診時などの定期面談をはじめ、プレパパママ&ベビー交流会、産前・産後の家事・育児支援サービスの利用料助成、保育所の入所相談など、母子健康手帳交付時から子育て期まで、幅広く切れ目のない支援を提供する体制を整えています。

 ぽかぽかにはスタッフとして保健師・助産師・保育士・栄養士・臨床心理士など、母子健康・子育て支援の専門家が配置されていますので、ワンストップで随時相談を受けることができます。

 また、令和2年度からは、オンライン子育て支援サービス「キッズWeb★尾道」を開始し、自宅に居ながら子育て相談や講座、イベントに参加することができるようになりました。

 その他にも子育て応援アプリ「おのはぐ」や、登降園・保護者連絡用のアプリも導入しており、スマート子育ての推進にも力を入れています。

さらに、移住相談の際には、移住促進に携わっている私の家族、とくに子どもたちの写真などを使いながら、尾道の良さ、「尾道に来ると何ができるか」をお伝えしようとしています。


 子どもたちと楽しむ手作り野菜の収穫や、きれいな瀬戸内海で遊ぶ子どもたち、夏の花火などなど。また、実は私の妻の父がなかなかのスーパーマンで、ピザ窯を自分で作っちゃうような人なんですよ。そのピザ窯で、子どもたちと収穫した野菜を使ったピザを焼いたり、瀬戸内産のレモンと魚をふんだんに使ったアクアパッツァを作ったり。


 やはり、実体験が一番だと思いますので、行政の取り組みとともに、自らの生活を題材にしながら、さまざまな尾道の魅力を伝えていけたらと思っています。

相談に来て下さる方のほとんどは、「尾道」を決め打ちでいらっしゃいます。尾道市の知名度のおかげだと思いますね。イメージもよく、ある程度の知識は持った状態で来ていただいています。その上で、観光マップやウェブサイトでは伝わり切れないことを、私たちの取り組みで最後の一押しをしています。

――この一年で、移住を希望される方になにか変化はありますでしょうか。

意識の変化はありましたね。コロナ禍以前は、漠然と「環境のいいところで子育てするのもいいかもしれない」と思っていた人たちが、移住について具体的に考えるようになってきたように思います。

どうしても東京にいなければいけない、という前提が変わってきたことで、「地域のために自分の能力を役立てたい」という発想を持ってご相談に来ていただく方も増えました。先日も、「これまで東京で、インバウンド観光客向けの広告制作などをやってきた。この経験や能力を尾道で生かせないか」と具体的な相談をいただきました。他の方もとにかく具体的で、「こんなビジョンを持っていて、こんなことをやりたい」という方が増えた印象です。

たとえば、尾道ブルワリー(https://onomichibeer.com/ )の佐々木真人さんと真理さんのご夫妻です。2020年8月に移住され、1894年築の蔵をビール醸造所にリノベーションされました。お二人ともに東京生まれの千葉育ちで、真人さんは働き過ぎて体調を崩し、東京の会社で働くことだけが仕事ではないのではないかと考えるようになり、真理さんは東日本大震災から東北の観光地が立ち直っていく様子をみるなかで地方創生に関心を持つようになったことが、移住を考えるきっかけだったそうです。
しまなみ海道のサイクリングで出会った尾道でビールを造ってみたい、という思いを持って相談に来てくださって、とんとん拍子に移住に至りました。地元の食材をつかってさまざまなメニューを開発していらっしゃいます。
佐々木さんご夫婦をはじめ、自分の力で地域にプラスアルファをもたらしたい、という方々がどんどん来てくださっています。
自分の役割は、人と人とをつなぐことだと思っています。移住者と地元の人はもちろん、移住者同士もそうですが、「この人を会わせたら面白いことになりそう」という人をつなぐことが大切だと思います。

――移住を考えている方にとって、仕事をどうするかは大きな課題だと思います。

移住でもっとも大切なことは、「食べていくための仕事」をどうやって確保するかだと思います。どんな仕事をするか、それが生きがいにつながれば一番いいと思いますが、まずは安定して食べていくための収入がなければ生きがいを追求していくのは難しいですよね。生活基盤をしっかり作って、その上で生きがいを楽しんでいただければと思います。

仕事には起業や就職、就農などさまざまな側面がありますが、市役所としても皆さんのニーズに合わせて相談に応じさせていただいています。商工課が事務局を担当する「尾道ふる里就職(http://onomichi-f.com/ )」というサイトもありますので、ぜひ活用してください。

移住と仕事はセットだと思います。コロナ禍の影響で、就職や転職でもオンラインでの面接が増えていますが、意外といい影響もあるようですよ。対面の面接で「はじめまして」をやるよりもより親密度が高くなります。電話やメールでは伝わらないものがありますしね。

テレワーク関連ですと、2020年末からウェブデザイナーさんやライターさん、編集者さんの移住が増えてきました。PCがあればどこでも仕事ができるという職種のひとたちが、東京の仕事をそのまま尾道に持ってきたという印象ですね。

――あらためて、尾道の魅力はどんなところでしょうか。

子育て環境の良さ、子どもと楽しめる自然の素晴らしさですね。尾道には里山から昔ながらの街並み、瀬戸内海の海岸、そして島しょ部まで全部揃っています。これらの風景を、自動車で一時間かからない程度で行き来できることは、東京から見ると大きなメリットではないでしょうか。
広島県全体の魅力としては、尾道とかぶりますが山から海まですべてあること。山のほうに行けばスキー場までありますしね。

移住された方の感想では、「尾道って思ってたより田舎じゃないですね」という声がありました。ご近所ともいい感じの距離感だ、と言っていただくことが多いですね。
あと、「思ったより寒かった」という意見もありました。瀬戸内で暖かい気候といいながらも、ダウンジャケットがいらないほどではありませんのでご注意ください(笑)。

また、「意外と坂がなかった」という声もいただきます。「尾道は坂の町」というイメージがありますが、少なくとも近場であれば自転車でも日常生活が送れるくらいですので、ご安心ください。

もともと、尾道は港町で、商業の町です。つまり、外から文化や人を受け入れ続けて、それで発展してきた町です。尾道港からは、古来さまざまな文物が入ってきていました。江戸時代には北前船で秋田から運ばれてきたお米を使って尾道でお酢を作り、それを北海道まで運んで売っていたという歴史もあります。

人や物、文化がどんどん入ってきて、尾道で新しいことを生みだして、それがまた全国に広がっていく。尾道にはそんな歴史があります。外から来た人たちを受け入れる文化、他人と違うことを恐れない空気がある、活力にあふれた町だと思います。

ぜひ一度、観光でも移住相談でも、足を運んでいただけるとうれしいですね。

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