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株式会社FOREST WORKER

人と森をつなぎ、育てる。
丁寧な山仕事とITで切り拓く
新しい林業のカタチ


技術 / 庄原市

「今の仕事が何の役に立っているのか分からない」「もっと社会的意義のある仕事がしたい」…。そんな思いを抱える方にこそ、知ってほしい会社があります。それは、持続可能な山づくりに取り組む庄原市の林業会社・株式会社FORESTWORKER。

山に負担をかけない自伐型林業や樹木のデータを可視化する「HIBA RINGs」というプロジェクトを通じて、次世代に豊かな山をつなぎ、自然と人が共存できる環境を育てています。

中国山地のほぼ中央に位置し、市の面積の8割以上を山林が占める庄原市。地域の基幹産業である林業を盛り立て、まちの未来をつくっている同社の挑戦に迫りました。

UPDATE 2026/03/31

故郷で見つけた「一生の仕事」

社長の田村栄太さんは、かつて竹原市内の工場に勤めながら社会人野球に打ち込んでいました。ところが20代前半、故障により野球を断念し、工場も退職。生まれ故郷の庄原市に戻ることを決意するもリーマンショックで地元の雇用が激減する中、声をかけられたのが林業でした。

「林業のことはまったく知りませんでした。けれど、中山間地域の庄原だからこそやっていける仕事かもしれないと思い、誘ってもらった森林組合に就職したんです」。

細かく時間が決まっていた工場勤務とは異なり、大自然の中に身を置き、時間に縛られずに働けるこの仕事に田村社長は魅了されました。技術を磨けば、独立も夢ではありません。「5年間本気でやろう」と決め、2017年に株式会社FORESTWORKER(以下、フォレストワーカー)を立ち上げたのです。

独立後、働けば働くほど売上は伸びました。しかし、田村社長はそのままのやり方を良しとはしませんでした。「林業は頑張る度合いが尋常じゃないんです(笑)。この働き方では10〜20年後は続けられない。会社として成長するなら、“頑張り方”を整える必要がありました」。

そんな折、庄原市の元市議会議員を通じ、自伐型林業の代表者と出会います。それまでの大量伐採とは違う、山に負担をかけない方法を知り「これだ!」と感じた田村社長。「自伐型林業を通じて、山を次世代につなぐ仕組みをつくりたい」。そうして、フォレストワーカーでも自伐型林業に取り組むことを決めました。

丁寧に森と向き合う、自伐型林業の取り組み

自伐型林業とは、従来の短期間で大量に伐採する「短伐期皆伐」とは反対の手法。長く育ててこまめに間伐する「長伐期多間伐」を行い、自然環境への影響を最小限に留める環境保全型林業です。

山の中に小さな作業道を細かく設けて人が入りやすくし、木と木の感覚を狭すぎず広すぎないよう丁寧に整備。適切なバランスで「1000年先を見据えた山づくり」に取り組んでいます。木々を伐採しすぎないことは山の保水力を維持し、土砂災害を防ぐことにもつながります。

森林管理は、フォレストワーカーなど林業会社が、土地の持ち主である「山主」から山を預かり、守り育てていくのが一般的です。「自伐型林業は、一般的な林業と比べて効率は下がります。重機を入れて一気に伐採していたところを小さな重機で乗り入れて、伐採する樹木と残していくべき樹木を見極めながら作業していくわけですから。」と田村社長。

しかし、田村社長はその手間にこそ価値があると考えています。「山主さんが祖父母や親から受け継いできた山を、私たちがお預かりして管理させてもらっているわけです。効率ばかりを追うのではなく、『地域の人が大事に守ってきた土地なんだ』ということを忘れてはいけないですよね」。

一本一本の木に思いを持って向き合う。それが、フォレストワーカーがもっとも大切にしていることです。

人と山との距離を縮める「HIBA RINGs」

現在、同社が力を入れているのが、独自プロジェクトのHIBA RINGs(ヒバリングス)です。これは木工メーカーなどと協働し、間伐や特殊伐採された樹木をスツールやカッティングボード、コースター、フラワーベースといった製品に仕立てる取り組みです。

HIBA RINGsの商品は、すべてIDを付けて販売されます。IDをウェブサイトに入力することで、その商品に使われている樹木がいつ植えられて、どこで育ち、どんな年代を生きたか、誰がいつ伐採したのかといったデータを見ることができるのです。山の存在をぐっと身近に感じられる、画期的な取り組みです。

HIBA RINGsの活動は商品の製造・販売だけにとどまりません。庄原市の子どもたちと一緒に、団地の裏山を公園として整備する取り組みも行っています。「自分で木を倒し、ロープで引いて重さを知る。そんな幼少期の経験が山に親しみが持てるし、林業の仕事に興味を持つきっかけになると思うんです。それに、子どもたちが植えた木にIDを付ければ、大人になって成長を見に来ることもできます」。

また、庄原市と同じく広島県の中山間地域である北広島町で、トレイルランニングコースの改修工事にも参加。地元中学生がトレーニングしていたコースをより安全で、より運動効果のあるコースへと整備しています。

深刻な人手不足や木材価格の下落など、林業には課題が山積しています。管理されていない山が増え、「危険だから入ってはいけない」と子どもたちが大人から教えられる現状に、田村社長は危機感を抱いています。「山に入れない状況が当たり前になれば、人々は山に対する関心を失っていきます。だからこそ、HIBA RINGsを通じて、山を訪れる理由を増やしていきたいんです」。

こうした取り組みは、地域づくりにも直結します。林業は、森林が市の80%以上を占める庄原市の基幹産業です。「林業会社である僕らがワイワイと楽しみながら山と人をつなぎ直す活動に取り組むことで、地域を盛り上げ、地方での働き方に“林業”を選択肢に加えてもらえる未来をつくりたい。また、地域の木材を地域で適切に使っていくことで、貴重な資源を守りたいんです」と田村社長は話します。

自然の中で体を動かす充足感と達成感

フォレストワーカーには、SNSやHPを通じて全国から仲間が集まっています。動物看護士や教師など前職は多種多様ですが、その多くは自然環境に関心がある人。2018年の西日本豪雨を経験し、「自分にできることはないか」と考えて志望した人もいるそうです。

社長の実弟・田村修太さんは元料理人。専門学校を卒業後、京都・嵐山の旅館で約5年間の修業を積みました。広島県に戻ってカフェを開業しようと考えていた修太さんは、洋食も経験するためにレストランで勤務。そこで、あらかじめ予約で人数が決まっている旅館と違い、飛び込み客も多いスタイルは自分に合っていないと気付いたそうです。「夢そのものを見直したほうがいいのかもしれないと悩んでいました」。

そんなとき、兄である田村社長から「修太は写真が趣味なんだから、仕事の様子を撮影してくれないか?」と声をかけられたそうです。最初は写真撮影から入り、次第にHIBA RNGsの商品の研磨などの仕上げ作業も任されるように。「他の社員はみんな現場に出ている間に、静かな事務所で黙々と作業するのがしっくりきたんです」と振り返ります。

任された仕事をイキイキとこなしていくうちに、正社員として採用された修太さん。現在はパソコンの資格を活かした事務仕事や、HIBA RINGsの営業や梱包・発送、パンフレットやSNSの撮影やデザインなどを担当しています。

修太さんにフォレストワーカーで働く魅力を聞くと、こう答えてくれました。「まず何と言っても、自然の中で体を動かすことは本当に気持ちいいです! 山での仕事は作業の成果が目に見えて分かるので、達成感も大きいですね。それに樹木は木目がすべて違うので、伐採した木を持ち帰るとき『製品になったら、一体どんな表情を見せてくれるんだろう?』とワクワクします」。

田村社長は「山は一つとして同じ場所はなく、季節や時間によっても景色が変わります。それが面白くて、何年この仕事をしていても飽きないですよね。何より、働いた後のビールは最高においしい!」と笑います。春には休憩時間に山菜を摘み、天ぷらにして従業員や山主さんとみんなで楽しむ。それも、山に入る仕事ならではの魅力です。

休みやすく、働きやすい環境づくり

フォレストワーカーでは働きやすい環境づくりにも注力しています。年間休日は110~120日。社員は30~40代の子育て世代が多いため、家族の病気や事情に対応できるよう有給休暇や看護休暇も取りやすい社風です。

入社後は、指導者の資格を持つ従業員がマンツーマンで指導。実際に山に入り、チェーンソーや草刈り機の使い方を丁寧にレクチャーします。未経験から入社した修太さんは「最初はちょっと怖いな…と思っていましたが、教わる中で、正しく扱えば危険ではないんだなと実感しました。包丁と同じですよね。道具そのものより、安全を考えずに効率重視で進めようとする考え方が危険なんだと思いました」と話します。

主要な場所にアクセスしやすい庄原市

京都から庄原市にUターンした修太さん。京都は自転車で周遊できるコンパクトさが魅力でしたが、移住してから自動車移動がメインになったことを心地よく感じているそうです。「自転車で生活していたときよりも、より広く、より遠い世界に目を向けるようになりました。車を維持することは大変ではありますが、コスト的には都会の家賃と変わりません。庄原市は中国地方のほぼ真ん中に位置しているので、広島市内や広島空港、山陰など主要な場所へ1~2時間で行けるのが便利ですね。飛行機を使えば東京まで約2時間半で行けるんですよ」。

求めるのは、新しい風を吹かせてくれる人

田村社長は人材について、「どんな業界にも厳しさはあり、林業も例外ではありません。自然が好きということは絶対条件ですね。それから、何でもいいのでこだわりをもって仕事ができる人、新しいことにチャレンジしたい人、体を動かすことや筋トレが好きな人が向いていると思います。さらにITを使って業務改善ができる人や都会の情報で会社に新しい風を吹かせてくれる人が、うちに興味を持ってくれたらうれしいですね」と率直に話してくれました。

山に入り、木を切る。シンプルかつ奥が深い林業の仕事は、自分の“身体”を使って自然環境を守り、地域の役に立ちたいと考えている人にとって、やりがい溢れる舞台となるはずです。

会社情報

会社名 株式会社FOREST WORKER
設立 2017年
所在地 広島県庄原市市町569-1
URL https://forest-worker.com/
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